周回遅れ
中学校の体育の時間は、手始めに背の順で2列に並んで体育館を走る。何周していたかは覚えていないけど、掛け声をかけあいながら走る。
私は背の順だと真ん中より少し後ろ。
その日はやたらとペースが早く、太っていて足の遅い私は、なんとか足を上げて付いていくのがやっとだった。
途中で私のハチマキが飛んだ。
(私の通っていた学校の体育は、校章がプリントされた、裏表で紅白になっているハチマキが標準装備だった。いまは知らない)
ハチマキを取りに行って振り返ると、ペースの早い同級生たちは半周向こうで走っていた。
急いで追いつこうと走ったけど、追いつけなかった。
あちゃーな思い出。
大人になって、ふと思う。一生懸命走っている時はいい。一度立ち止まってしまうと、追いかけていたものを再び追うのは難しい。
立ち止まると、もう執着心がなくなっていることに薄らと気づいている。気づいているのに走らないといけないという、よくわからない意地が現れる。
それまでの走り方では追えないことは分かっているのに。