ヘイトスピーチ
この世の中にヘイトスピーチというものが存在しているというのは知っていたのだけど、身近な存在ではなかった。
半年ほど前、近くの駅で初めてそれを見た。
なにか言ってるなとは思ったけど、聞く気もなくふと、その集団を見ると品の良さそうで大人しそうな40代ぐらいの女性が、スピーチを終えてホッとしている表情をしていた。
その表情は普通の健全な市民に見えたし、気が弱そうで庇護欲を掻き立てられたけど、次の瞬間には猛烈に悲しい気持ちに陥っていた。
こんなことでしか、この人たちは達成感を味わえないのか。自分を表せないのか。
こんなに無駄になんでもある都会で、こんなことでしか…。
本当はチキンなのに、見た目は偉そうに見えてるっぽい私が、彼女たちに「恥ずかしくないの?」と強めに言ったら涙目で逃げていきそうな雰囲気だったなあと思い返しつつ、強そうに見えているからこそ、こういう人たちに取り込まれずにやっていけてるんだろうなと思った。
きっと、街中であの人たちを見かけても、あの時の人だと気づかないと思う。そんな普通の人たちがヘイトスピーチをやっていることが衝撃だった。
この1年のうちに、彼の国の人々の印象が変わる出来事があった。
あのスピーチをしていた人たちは、印象を変えてくれたあの子たちと出会うことはないのだろうか。