キタナイキレイ
むかーしむかし。歳の離れた兄から尋ねられた。「飯島愛と細川ふみえ、どっちがいい?」
確か、ふたりで日曜の昼間にスーパージョッキーを観ていたのだ。
小学生の私は「飯島愛」と答えた。兄は「なんで、キタナイ女だぞ」と言ったあと、しまった!という表情で口ごもった。
当時の私には、飯島愛がAV女優だったという情報もしっかりあった。ただ単に細川ふみえが嫌いだっただけなのかもしれない。
その境目の汚さってなんなのかしら、ね。
いわゆるアラフォーというものになって、思い返すと私は今もやっぱり「飯島愛」と答える。汚れる勇気、他人から向けられる容赦ない目線に耐えられる力、羨ましい。いまも生きていたらどんな言葉を残すだろう。
なんでこんな大昔の話を思い出しているかというと、コンビニで橋本マナミが表紙の雑誌を見たから。
ええ、壇蜜のほうが好きなのだ。壇蜜が汚していった世界の一部に乗っかっているだけの人に見えて好感を持てないのだ。
彼女たちは一般的に兄がうっかり放った本音「キタナイ」のかもしれないけど、私には、そう呼ばれることを厭わなかった彼女たちのほうがキレイに見えている。